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卒業生インタビュー:飯田 大輔さん(IMBA 2017)

10月某日、渋谷ストリームに移転したばかりの新しいオフィス。カフェラウンジは多国籍なGoogle社員で賑わっています。

2017年にIEを卒業し、働きたいテクノロジー企業ランキングの常連であるGoogle社に転職された、飯田大輔さんにインタビューしてきました。

35歳からのMBA留学

MBA留学前は大学卒業後、2社の広告代理店で勤めていました。最初がアサツーディケイで、2社目が電通です。合わせて13年くらい働いた後、MBAに出願しました。

 

広告代理店には大きく分けて3つの部門があります。営業と、営業が売るメディアの商品を作るメディア部門。

そして、それ以外のクリエイティブ部門です。

僕はキャリアの前半は営業部門、後半はメディア部門で広告を売る側と、広告で売る商品を作る側の両方に携わっていました。


 

MBA留学を考えたきっかけは何でしたか?


メディア部門で商品企画をしていた際、商品の事業収支や利益をあげる仕組みを考える機会が何度かありました。

今までの職務経験や、大学の学部時代に専攻していた心理学、社会学とは離れた領域だったので、事業マネジメントや収支管理の知識と経験が不足していることを感じて、MBAで学びたいと思うようになりました。


 

いくつもプログラムや学校の候補がある中で、IEを選んだ理由は何でしたか? 


僕はほぼ単願でした。まず留学カウンセラーと話して、出願時点で34~35歳だったので、留学後のキャリアを考えると1年制がいいと思いました。そうなると、Financial TimesやQSのランキングが高い1年制の学校はアメリカに2校くらいしかないので、自然と1年制が主流で多様性の高いヨーロッパのMBAに注目するようになりました。

 

ヨーロッパのMBAの中で学校を選ぶにあたっては、大企業の経営や今あるものを良くすることを学ぶプログラムより、新しいビジネスや商品を考えて作っていくことに重きを置いたプログラムを探しました。

 

カウンセラーにも相談する中で、IEと僕が併願したケンブリッジの2校が、スタートアップ企業の考え方をMBAの中に取り入れているとわかったので、自然と興味がわいたという感じです 。


インターン・そしてGoogleへの転職

在学中にGoogle日本法人でMBA対象のサマーインターンをしました。1月から12月までのIMBAだったので、夏休み1ヶ月とラボという期間を併用して、2ヶ月くらいインターンをすることができました。インターンの内容をレポートにまとめて単位認定してもらうIMBA IN PRACTICEという制度を活用しました。


 

その流れで正社員の内定をいただいたということですか?


インターンは直接選考には関係しておりませんでしたが、インターン後に正社員に応募した結果、在学中ギリギリの時期、11月後半~12月に内定をいただきました。帰国後、熟慮した結果、Google日本法人に転職し、現在もこちらで働いています。

 

今は、もともと広告代理店で働いていた経験を生かして、広告営業をしています。大手企業中心に数社のアカウントマネジメントをしています。

 

よくIEの卒業生とGoogleのカフェで話す機会があるんですが、カフェにいろいろな人がいるごちゃ混ぜ感とか、自由な雰囲気とかがすごくIEに似ているんですよ。日本の中では稀有に多様性が実現しているというか。たとえば会議をするにしても、色んな国籍、性別、職務経験のある方と日々出会えるところが、一番楽しくて、魅力を感じています。


 

このビルの中もいきなりコスモポリタンですからね~!


そうですね、MBA留学して帰国すると、日本の会社や社会が単調に見える方もいらっしゃると思うんですが、僕が今いる場所はMBAで体験した様な環境に近いので、日々すごく刺激を受けています。


 

いまのお仕事でMBAが役立っているのは、どんなことですか?


まず、ハードスキルでいうと、もともとマーケティングの知識は持っていたんですが、ファイナンスやオペレーションの知識にはあまり精通してなかった。そういうところを一通りMBAで学べたのは大きかったです。

 

あとは、マイロ・ジョーンズ教授の地政学や、ダニエル・ブレイク教授の政財界(Business Governmental Society)を学んだことで、視野が広がりました。こういう考え方を知ることで、様々なバックグラウンドの人が発言した時に、自分と意見が違ったり、理解しにくいことがあったりしても、相手がどういう視点からそう考えているのかを察することができるようになったのは良かったと思います。

 

あと、ソフトスキルでいうと、多様性に富んだ環境の中でグループワークすることで、自分の考えを持ちつつ、より柔軟に物事を捉えられるようになりました。たとえば、最初の半年は固定のグループで課題を進めるんですが、どのグループも進め方でもめるんですよ。どの進め方が正しいということはないので、最終的にグループで可能な限り建設的に進め方を修練するんですが、多様性のある環境でそういう経験をすることで、自分自身も柔軟になれるし、主観的に考えつつ客観的に自分を振り返る習慣が身についたのは大きな収穫でした。

 

僕は、もともと物怖じするタイプだったんですが、留学後は以前に比べだいぶ物怖じしなくなりました。特に留学行く前、外国人の同僚がいると少し身構えるところがあったんですが、今はまず聞いてみようとか、まずこの人どういう人だろうと興味を持って接することができるようになったと思います。


 

飯田さんは最初から英語も上手かったですよね。


自分もある程度英語のレベルは高めてから留学したつもりでした。

それが現地に行くとですね、当然みんなもっと上手いので、そこで一度落ち込みました。僕の場合2~3ヶ月辛い時期あったんですが、そこを乗り越えるとなんとなく耳が慣れてくる。後すごいスピードで討論する中で、今なら自分の意見を差し込めるタイミングとかわかってくると、楽というか、楽しくなってくる。


 

最初のスペイン語レッスンも参加されたんですか?


参加しました。最初のスペイン語レッスンはスペイン語を英語で教わるので、日常生活では役に立ちましたが、MBAの授業との両立が想像以上に大変で、残念ながら、日常生活以上のスペイン語の語学レベルはあまり高めることができませんでした。


 

35歳で入学すると、IEの平均年齢が29歳くらいなので、年齢のギャップ、考え方のギャップみたいなものはありましたか?


僕も日本の会社にいたので、年功序列の考え方が全くないというと嘘になります。ただこのまま日本の環境にいると、今ある固定された階層意識から抜け出せないなと思い、あえてMBAでは年功序列の考え方は取っ払って、若くて自分より経験が少ない方の話もまず聞こうという方針を持って行きました。

アドミッションにも、あなたは年齢相応に見てもらえないかもしれないけど、大丈夫?と聞かれたんですが、僕は逆に若い人たちじゃないと出てこない意見や、デジタルに精通した彼らの新しい発想が知りたいと思っていました。

 

Googleも本当に年齢を問わないんですよ。たとえば、すごく若くて職位が高い方もいるし、年齢は上でも管理職になりたく無くて、日本語でいうと平社員、英語だとindividual contributorとして貢献する方もいます。年齢が高いから必ずしも職位が高いというわけではないですし、日本の年功序列の考え方から少し解放されたかもしれません。

 


 

Google日本法人には何人かIEの卒業生が就職されているんですが、ここ渋谷にもいらっしゃいますか? 


はい、いらっしゃいます。テクノロジーの会社とIEは相性がいいと思います。両方とも将来を見据えて、多様性や柔軟さを重視する文化が似ています。シリコンバレーというか、アメリカ西海岸の文化とIEは相性が良いと思います。

 

逆になぜIEはスペインにあるんだろう? 僕はIEをスペインの学校だから選んだというわけではないので違和感がないんですが、受験生や社内の人にはなぜスペインの学校を選んだんですかと聞かれます。IE自体が、スペインの学校として推しているわけではないですよね。

 


そうですね。たまたまスペインにあるだけで、中身は完全にインターナショナル・スクールですね。ただ、マドリードという街の魅力と、その中でもIEの立地は非常に良いので、世界中からの学生やエグゼクティブを惹きつけているのは大きいと思います。

マドリード生活で特に印象に残っていることはありますか?


圧倒的に覚えているのが、青い空。つまり天気が良い。それゆえ勉強が大変でも前向きになれることと、他の学校に比べて都会にあるのが僕にとっては良かったです。ちょっと疲れた時に映画を見に行ったり、買い物に行ったり、友達とバーに行ったりということが気軽にできました。

ほとんどの受験者は都心に住んでいると思いますが、今と変わらない生活を保ちながらトップMBAに行けるっていう環境はそんなに多くないのかな。IE以外だとLBSとボストンの学校くらいですかね。他の学校はちょっと郊外にあるから、住環境が変わるのかなと。


 

今後の目標を教えて下さい。


まだ漠然としているんですが、広告のセールスやマーケティングという分野に長く携わってきたので、その領域を発展させつつも、違う立場から自分の業務領域を広げたり、新しいものにも挑戦したりしたいです。

 

たとえば、Googleには仕事の中の20%を好きなプロジェクト に充てられるというルールがあるので、それを使ってGoogle for Educationという、日本の各小中学校や大学にChrome Bookを導入してもらって、授業のデジタル化や効率化を実現してもらうというプロジェクトのお手伝いをしています。

 

先日、都内の中学校にて、AIセミナーにレクチャーをしてきました。なかなかAIを誰にでもわかりやすく説明するのは大変で、よい経験になりました。。あと、Googleスタートアップという拠点がこのビルにできるので、そこのプログラムで合うものがあれば手伝いたいと思っています。いまは、この会社にてできることに、今年、来年と挑戦していきたいです。


 

これからMBA受験する人へ一言。


MBA留学って一生に1回、多くてもエグゼクティブでもう1回行って2回しか行けるものではないので、受験生には納得して学校を選んで欲しいです。そのために重要なのは、どういう目的でMBAに行くかということだと思います。なんとなく友達や知っている方がMBAに行くからという理由で受験して、入学して、卒業しても、MBAは打ち出の小槌ではないので、MBAに行ったから何かが変わる訳ではない。

 

MBAに行って具体的な何かを変えたい、何かに挑戦したいという目標があるからこそ、変わったり挑戦したりできるんで、そこは念頭に置いてMBA留学準備をしていただけたらいいなと思います。


 

ありがとうございました!