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卒業生インタビュー:東郷太郎さん(IMBA2017)

2018年に日本上陸したWeWork Ginza Sixは大きな窓のある開放的なスペースで商談ができ、コワーキングスペースも24時間空いているシェアオフィス。WeWork Japanはソフトバンク株式会社が半分出資。「WeWork Japanはうちの隣のチームが作ったんです。」そんなWeWorkをオフィスとして働く卒業生、東郷太郎さんにお話を伺いました。

2016年9月にIEに入学し、2017年7月に卒業。現在、ソフトバンクの技術投資戦略を担う部門で、事業開発や事業企画を担当しています。

 

自分に足りない部分が見えた

IE前のキャリアから教えて下さい。


大学を卒業してから、2007年に当時のソフトバンクBB株式会社に入りました。前年にボーダフォンを買収しソフトバンクモバイルとなったので、そこに出向してました。

そこでは携帯電話の法人営業の戦略企画をやっていました。回線計画を策定したり、エグゼクティブレポートの作成や、営業の予測とかですね。

2010年くらいにソフトバンクがアメリカのUstreamというライブ動画配信スタートアップに出資して、今度はそこに出向しました。そこでも基本的にB2B営業に関することはほぼ全部、スタートアップは小さいから、セールス、販売計画、B2Bプロダクトのマネジメントまでやってました。

 

キャリアの最初の頃、既に孫さんの会議に出たり、若いのに役員と直接やりとりしたりしていたので、自分いけてるな、と思ったこともありました。でもUstreamへ行ったときに、まだ自分に足りないものがあるって気づきました。本社がアメリカで、開発がハンガリー。そんなインターナショナルなので、自分に足りない部分が見えてきて。自分自身の市場価値をあげなきゃと。それにはどうしたらいいかなと思って。

 


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大学時代の学部は政経学部。経営に関することは学んでこなかった。国際的な、しかもスタートアップの環境下で、ビジネスのハードスキルやグローバルで通用するソフトスキルを体系的に学ぶ必要性を痛感したという。そこでMBA留学をし、自分をレベルアップする必要性に駆られたという。

 

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それでGMATとか受験し、合格してIEに決めたんですよね。最終的な学校選びですが、マドリードに実際に行って、そこで決めたんですよね。


僕、都会の方が好きなんで。やっぱりビジネスなので、都会だと生のビジネスの機会に触れられるかなと思ったんです。例えば、TelefonicaとかSantander、Goldman Sachsの偉い人が来てくれたり。そういう意味で、マドリードのビジネスへのアクセスは良かったですね。あとなんとなく、やっぱり都市として好きでしたね。あれ?マドリード、いいんじゃない?って。笑 あとは本当にビビっと。あ、ここかな、と。笑

 


で、入学して、ラボは何を選択したんですか?


Business Impact Labのイメージは、コンサルタント養成プログラムみたいな感じだったので、だったら自分でビジネスを作ったほうが面白いかな、と思って、Startup Labを取りました。そこでパーキングのシェアサービスのアイデアをやりました。AirBnBのパーキングバージョン。今まだメンバーの一人、一緒にやっていたウクライナの女の子がマドリードに残って投資家探したりしています。スタートアップラボのあと、チーム自体はVenture Labを選択して、そのままやってますね。僕はVenture Labはやらなかったけど。

 


本社で経営に近いことがしたい

WeWork銀座店にて
WeWork銀座店にて

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卒業後、元々休職していたソフトバンクへ復帰。IEで知り合った彼女のいるイギリスでの就職を模索したがビザというハードルがあり、一旦は日本へ帰国。

外資系など様々な会社を見てみたが、やはり経営に近いことが出来るのは本社だと思ったところ、Ustream時代の上司がソフトバンクの新規事業開発の部署に異動しており、そこから声がかかった。

 

そこでクラウドとセキュリティ分野の新規事業開発に参加。ソフトバンクはスタートアップへは投資し、大手企業とはアライアンスなどの協業。

成果としては2018年4月末にTelefonica(スペイン)、Singtel(シンガポール)、Etisalat(UAE)という世界の大手通信企業と共同でセキュリティ・アライアンスを提携したこと。ただし今後役割が変わり、ソフトバンクのファンド部門が出資した企業とのジョイントベンチャーをよりたくさん立ち上げていく役割となる。

 

そのため、ますますIEで学んだことが生きてくることになりそうだ。

 

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卒業したのが17年7月ですね。だから10ヶ月くらいか。現職で面白いと思うことは?


一番は、やっぱり各国の人がいるじゃないですか、IEの授業を思い出しました。みんな英語の訛りがあるし。笑 IEの授業とか終わった後の飲み会の様子を思い出して、それが一番楽しいですかね。

アプローチの仕方も違うし、会社によって社内でのコンセンサスの取り方も違う。日本はコンセンサスとるのに時間かかりそうですけど、実はアラブの方がすごい時間かかるとか。

 

MBA終わった後もネットワーク広げたいと思っています。自分のプロフェッショナルのネットワークを広げていく中で、もちろんアライアンスもそうですが、スタートアップとか、IEのクラスメートから仕入れた知識で仲良くなったりとか。

 

クラスで見つけてもらえた長所で意外だったのは、プレゼンをするときに冒頭で出て、注目を集める役。切り込み隊長が僕の役割だったんです。笑 Startup Labも僕が最初に出て、場を暖める。僕はネイティブじゃないし、もっと英語うまい人がやった方が良いと思ってたんだけど、何かのきっかけでそうなりました。ノリとCore Programでやったプレゼンのスキル、いかにオーディエンスをうまく取り込むとか、そういうのもよかったですね。長所だってわかったから。だからMBAを通じて自信になりました。あんまり失敗を恐れないってことですね。

 


今の部署はソフトバンクの中でも通信事業じゃないことをやっているチーム。だからチームも自分のところはメンバーが3人いるんですけど、日本人は僕だけ。日本って最初にパーフェクトなものを持っていかないと怒られますけど、どうしようもない提案を最初に持っていて、上司とか客に怒られながらどんどん良くしていく文化もあるんです。

 

例えば、みんなで渋谷でうまいラーメン屋を探そうって言っているのに、誰かがなぜか、秋葉原でうまいカレー屋が見つかったと言ってくる。でも、そうしているうちに最終的に恵比寿でミシュランスターのトンカツ屋が見つかってみんなハッピーになる、と。

 


デザイン思考ですよね。みんながハッピーになるっていうことが大事で、目の前にある課題は、本当は解決しなきゃいけない課題じゃないかもしれない。

 


そうそう。日本人は渋谷でうまいラーメン屋を探して提案することについては間違いなく上手。それに、誰もがあそこなら良いよね、っていうのもだいたい目星がついている。そこからミシュランスターの恵比寿のトンカツ屋を見つけてくるっていうのは、IEに行っていなかったらそこの道筋を理解できなかったな、って思います。だから、今でもラーメン屋を持ってくることがだいたいは正しいんですけど、色々とああだこうだ議論することの大切さ。ソフトバンクの今のチームはそういう議論ができるチーム。だから居心地がいいんです。

 


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次のロールで期待することは、会社をゼロから作ってしっかり立ち上げること。戦略的に、日本でやると決めたときに、そのシナジーは、セールスのローカライズは、そしていかに協力していくかなどを描いていき、ひとつの会社を作っていくことだそう。

今後10年単位のプランとしては、元々MBAに行く理由のひとつであった、中東であろうとアフリカであろうと、世界中どこからでもご指名をもらえるような人になっていたいとのこと。今はソフトバンクの看板を背負って戦っているが、それが外れたときもお誘いが来るよう、ネットワークを広げ、これからのロールである、たくさんのジョイントベンチャー立ち上げて成功させていく、という実績を作りたいという。

 

これからMBAを受験する人へのメッセージは、次のように話してくれた。

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一番大事なのは自分が何をしたいか、5年、10年でどんな人間になりたいかっていうこと。MBA受験の勉強大変だけど、それはそれでがんばってください。笑 そこはどうしようもないけど、実は学校選びは大事。

例えば僕は元々動画のビジネスやっていたんで、将来的には、エンターテイメントに関ることやってみたいと思ってました。だけど、それよりもグローバルへの気持ちが強かったので、結果IEにしたんですけど、もしこれが僕の中でエンターテイメントの道への希望が強かったら、別の学校にした方がよかったかもしれない。

 

僕は自分の中では満足しているしこれが正解だったと思う。学校選びを失敗してあとで後悔するのはもったいないから、5年10年のなりたい自分をしっかり持っていないと厳しいと思う。ビジットは絶対した方が良いです! 

あとは極力クラスメートとの飲み会は参加した方が良い!笑

 


それはそうですね。笑 どんな後輩に来て欲しいですか?


一緒に話していて、楽しい人。話が進む人が良い。例えばひとつの専門分野に特化している人でも良いんです。自分が知らないことを知っている人と話すのって面白いし。話してて面白い人。ビジネスって結局、基本的に人は人。世界共通で、一緒にいて楽しい人の方が絶対に得なんで、そういう人が良いなって思います。