3月某日、都内某所にて、International MBAの様々な年度の日本人卒業生4名に、IEでの経験、そして今後の目標について話を聞きました。
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ガルシア
こんばんわ。ガルシア(仮名)です。では、ひとりずつ自己紹介をお願いします。
ロドリゲス
ロドリゲス(仮名)です。14年12月卒業です。日系コンサルに勤務していましたが私費でIEへ留学、卒業後すぐに旅行関連で起業しました。
カルロス
カルロス(仮名)です。同じく14年卒業で現在は外資系Eコマース企業に勤務しています。元々大手商社でパイプの営業をしていましたが、キャリアチェンジの為にMBA留学を決めました。
パブロ
パブロ(仮名)と申します。17年卒業です。バックグラウンドは公認会計士、監査法人で監査しており、その後米系のヘルスケアのファイナンス部に入りました。今は外資系メーカーで働いています。
フェルナンデス
フェルナンデス(仮名)です。10年卒業です。大手商社勤務の後、IEへ留学しし現在は日系大手製造業でエネルギーの海外営業です。来月中東地域の課長に昇進します!
一同
おお、それはおめでとうございます!
ガルシア
では、まずはじめに、皆さんがなぜIEを選んだか、教えていただけますか?
ロドリゲス
IEを選んだ理由は、トップランクで1年制ということ。ダイバーシティが豊かだということ。そして、アントレに強いということでした。あと、スクールビジットもして、在校生がとても面白くて自由な方々が多かったのが決め手となりました。
カルロス
IEは一番ユニークなイメージがあり、アントレやSocial Responsibilityなどの4つのバリューが、自分の興味関心ととても合うと思ったからです。実際に卒業生と会ってみても、ユニークで面白い人が多いな、と思って。イメージとしては動物園みたいな。笑
すごくハイソでエリートっぽい人たちばかり・・・というのではなくて、本当に有象無象な環境。そこがいいなと思ったんです。
ガルシア
皆さんダイバーシティは重要視してますね。その理由についても教えて下さい。
カルロス
スマートでインテリジェントな人たちばかりがいるのが本当の世の中ではないから、動物園のように多様な環境で学んで、実社会に還元していくというところが現実に即していると思いました。それと、アメリカに留学していたことがあり、その時の経験からあまりアメリカって良いと思わなくて。。。ダイバーシティがある欧州で1年で学び、すぐに実社会に戻れるという方が良かったので、IE一点集中というリスクの高い方法で受験しました。笑
パブロ
米系で働いていた時に、意思決定はトップダウンばかりで単一的な考え方に疑問を抱いていました。またちょうどその当時世間ではISなどテロ組織が世界中で事件を起こしていて、どうしたら多様な考え方を持つ人たちとうまくやっていけるのだろう、と自分で考えていました。そこでダイバーシティが高いこと、私費なので1年制ということで、IEにしました。
フェルナンデス
元々アメリカで育ったので、まず英語圏でないところのMBAにいきたいと思っていました。そうするとあの頃だとスペインかフランスしかなくて。フランス語は発音が難しいから一から始めるのは難しいだろうと。笑
でも高校も大学も第二外国語としてスペイン語をやっていたので、スペイン語なら新聞を読める程度にできてたんです。
一同
おお、すごい!
フェルナンデス
スペイン語を喋る環境に身をおけばスピーキングもついてきて非常によろしい、と。私費なのと年齢も年齢なので1年制で探し、IEにしました。
もうひとつの決定要素としては、ボストンのフレッチャースクールとDual Degreeが出来ることでした。商社でエネルギーの仕事をしていましたが、これからは再生可能エネルギーだ、と。でも再生可能エネルギー関連は規模の小さい会社が多いので、たとえ放り出されても自分で何とか起業できるくらいのスキルは身につけたいと思いました。とはいえ、エネルギー業界は環境政策に左右されるので、フレッチャースクールでは環境政策を学ぼうと思ったんです。
アメリカの大学でも環境政策とMBA両方できるところはあるんですが、そうすると期間が3年なんですよね。Dual Degreeで2年で済むのは大きかった。
ガルシア
皆さんIEで印象に残っていることは?
カルロス
アカデミックな知識がついたことは勿論ですが、一番強く残っているのは、世界のエリートたちってこうなんだ、というのに気づいたことです。海外でアンビシャスな人たちって、仕事や勉強だけでなく、プライベートや人生も楽しんでいる印象が強かったです。MBAのビフォーアフターで自分のワークライフバランスに対するマインドセットが大きく変わりました。
それから、IEのアントレ志向ということで、何かアイデアがあると、必ず「それやってみなよ」といってくれて、常にすごくポジティブなフィードバックしか来ない。それがすごく新しくて。何でも出来るんだ、という気持ちが醸成されていきました。頭の中で勝手に作っていた心理的バリアが取り払われていくように感じました。
ガルシア
明るくてポジティブですからね。みんな。。
カルロス
そうですね。自分でかけている固定観念を外すのがMBAの目的の中のひとつでした。能力が高くて仕事も出来るのに、自分でできないと思い込んでしまい可能性を制限している人って日本でもたくさんいると思うんです。自分もそうでした。そこをどうやって枠を外すかはひとつのテーマでした。そういう刺激を受けられたことは大きかったです。
ロドリゲス
入学してすぐにアントレのイベントがあって、卒業生や地元のスタートアップたちが起業に関するプレゼンをしているのをみたことで、MBAのかなり最初の段階で、起業って思ったほどハードル高くないんだな、と思いました。あとは毎週木曜日のArea31でビール飲みながらのピッチスラムも、こういう一見普通の人たちでも起業できるんだ、ととても勇気付けられました。
パブロ
ずっとファイナンス畑でいたため、アントレに興味はありながらも、なかなか触れる機会がありませんでした。だからIEでスタートアップのことも学びたいと思っていました。結局、スタートアップラボを選択し、ベンチャーラボまで日本人のNさんと一緒にやりまして、そこでベスト・イノベーション賞をもらいました。
ガルシア
そうそう、日本人のもう一人のメンバーと一緒にやったんですよね。
パブロ
Nさんの技術力がすごかったんです。笑 チームは少人数の多国籍グループで、ストレスも時には感じながら勉強しました。
ロドリゲス
一番最初の授業のときに、発言する為手を上げながらとても緊張して、当たって欲しいけど当たって欲しくない!と思っていたことが印象に残っていますね。
あとは、夜みんなで飲みに行ってベロベロになったりとか。笑
試験前に一緒に勉強してみんなで教えあったり、朝まだ暗い中グループワークのために学校へいったり。そういう普段の学生生活も記憶に残っていますね。
パブロ
部屋をドイツ人とアルゼンチン人と3人でシェアしていたのですが、ドイツ人の学生がアルゼンチン人の学生といつも衝突していました。
ガルシア
みなさん家はシェアしていました?
パブロ
喧嘩とかなかったですか?笑
一同
したした。笑
パブロ
でも時にはぶつかり合うことも大事なんだと思いました。笑
ガルシア
皆さんの志望理由にあった、ダイバーシティの豊かさについては、実際どのような印象でしたか?
フェルナンデス
アメリカの学校ではいくらインターナショナルといっても留学生比率20パーセントがせいぜい。そういった意味ではIEは本当にいろんな国から来ているし、マジョリティがないところが楽しかったかな。且つ、中南米のひとたちとはそれまで会ったことがなくて、陽気でいい加減なところもあれば、実はシャイだったとか。そういうギャップを学べたのは良い勉強になりましたね。
パブロ
多様性といえば、LGBTQの方々も多く、普通にみんなカミングアウトしていて、学校もみんなもそれを自然と受け容れる、オープンな雰囲気がありますよね。そこで一番思ったのが、自分がどう思っているのかを伝えなきゃ、相手にはわかってもらえないということ。まずは思いを伝えること、そこから仲良くなるんだということ。
オープンマインドでいることの大切さをグローバルの世界に出てひしひしと理解しました。日本の建前社会で生きてきて、初めての海外生活だったので、自分の思ったことをきちんと伝える勇気をもてたと思います。
ガルシア
これからの目標・夢は?
ロドリゲス
既に卒業後に起業したのですが、まだ小さい規模なので、今後10年くらいで雇用を創出していきたい、と思います。特に地方は疲弊しているので、地方の産業に寄与できる、若く優秀な人たちがわざわざ地方から都会に来なくてすむような、働ける場所にできるといいな、と思っています。
ガルシア
それは、同じ旅行業界のドメインの中で?
ロドリゲス
はい、そうなんです。旅行業はサービス業の中のひとつの受け皿です。でもまだかっこいい産業とは思われていないのです。例えばCAってかっこいい職業と思われていますけど、ツアーガイドやホテルのコンシェルジュも航空業界のような、憧れをもってもらえる職業にしていきたいと思っています。
カルロス
どこでも働けてどこでも生活できるようになることが目標です。次のステップとしては海外で働いて自分の人生をそこで築けるようにしたいのと、いずれは自分で事業をやってみたい。でも今は、この外資系の殺伐とした環境が結構楽しい。笑 なので、40~50代まではこのままで、もう少し落ち着いたら(インストラクターの資格を持っている)ヨガのビジネスをしたいと思います。ヨガだけ、ビジネスだけでもなく両方を、しかも英語で出来る人ってあんまりいないんです。
フェルナンデス
40歳なんてすぐだよ~。笑 今もヨガ教えているんですか?
カルロス
仕事の合い間に、教室とお寺とかでたまに。
一同
おお、お寺!!!
フェルナンデス
エネルギー関連の仕事が好きなので、今後もエネルギーから離れることは無いかな。元々父親がエネルギー関係の仕事をしていた影響と、アメリカでは毎日のように停電があったんです。今みたいにオートセーブ機能もないパソコンでペーパーを書いている途中、突然電気が落ちることってあって。エネルギーがないと本当こんなに困るんだな、と思って。また、大学のときに中東の近代史っていう授業があって、それがすごく面白かったんですよ。それからエネルギーをずっとやっています。今はエネルギーでもインフラ系だから少し違うけど。みなさんに電気を流します、みたいな。笑 それはそれでいいんですけど。笑
パブロ
目標は、独立開業して、自分が正しいと思うことを仕事で実現して、専門知識を使いながら夢を持っている起業家を支えて生きたいと思います。しかも、日本だけでなく世界で個人名で指名されたい。
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さて、3月8日は国際女性デーです。世界中で「Press for Progress」を合言葉に、様々なイベントやデモが行なわれました。
IEでは「Women Pass it On」をテーマに、次の世代へレガシーを繋いでいく為、奨学金プログラム、メンタリング、世界中でのネットワーキングイベント等を通じて、女性の学生、教授、スタッフ、キャンディデートがそれぞれの個性を活かしながらビジネスやテクノロジー等あらゆる分野で活躍できるよう支援をしています。
ここまで対談を読んできた方々はお気づきでしょうか?
匿名でインタビューした4名の卒業生は全員女性です。
MBAを通じたキャリア形成、学んだこと、目標や夢を語るとき、性別ではなく、それぞれがもつユニークなバックグラウンドや考え方に目を向けるべきです。初めからこの記事を「女性卒業生の対談」とタイトル付けしていたとしたら、果たして無意識のバイアス無しに読むことができたでしょうか?
私たちは、いつか「女性卒業生」「女性起業家」「女性中東課長」ではなく、「卒業生」「起業家」「中東課長」と呼べる日を作らなくてはいけません。
ダイバーシティを大切にするIEでは、その一歩として、皆さんと一緒に考える糧にすべく今日のような匿名対談を開催し記事にしました。